制作・著作 前武蔵守平朝臣泰時・多賀歴史研究所 多賀譲治(訳者)
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中文翻译 ユミルの温泉
封面PID:89478029
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第3条 「守護の仕事について」
頼朝公が決められて以来守護の仕事は、大番催促(おおばんさいそく)と、謀反人(むほんにん)と、殺人犯の取りしまりである。さらに、夜討ち(ようち)、強盗、山賊、海賊の取り締(し)まりもある。守護の中には代官を村々に送り勝手に村人を思うがままに使ったり税を集める者もいる。また国司でもないのに地方を支配し、地頭でもないのに税をとったりする者がいる。それらは全て違法の行いであり禁止する。
また、代々の御家人といえども所領を持たない者は、勝手に大番役につくことはできない。荘官(しょうかん)の中には御家人といつわって、国司や領家(りょうけ)の命令に従わない者がいる。このような者には望んでも諸役(しょやく)を任せてはならない。頼朝公が決めたときのように守護の仕事は大番役(おおばんやく)を決めることと、謀反人や殺人事件の調査や犯罪者の逮捕であり、それ以外のことをしてはならない。この取り決めにそむく守護が国司や領家に訴えられたり、あるいは地頭や庶民に対してその非法が明らかになり次第辞めさせて適切な者を守護に任命する。また、守護の代官は一人しか決めてはならない。※大番催促=朝廷を警護することを御家人に命ずること
※謀反人=朝廷や幕府にそむくもの
※代官=ここでは守護の代理の役人
※家督=家の長が管理していた財産や、地位
荘官=領家や本家の命を受けて荘園を管理するという役だが実際の持ち主
※領家=荘園の名目上の持ち主・更にその上に「本家」がある」どちらも名目上の持ち主
※しょやく=とは警察の仕事、地頭のまとめ役など
第三条 关于守护一职的工作
自赖朝公决定以来,守护的工作为大番催促①、取缔谋反人②和杀人犯,并且同样包括取缔夜贼、强盗、山贼和海贼。(然而)有的守护将代官③送到各个村中随意地驱使村民并征税;明明不是国司却支配地方,明明不是地头却征收税款。那些全部都是违法的行为,予以禁止。
另外,即使是世袭的御家人,如果没有领地,也不能擅自从事大番役。有的庄官⑤假装是御家人,不服从国司或领家⑥的命令;对这样的人,不能任命他从事诸役⑦。正如赖朝公决定时那样,守护的工作是决定大番役、调查谋反人和杀人事件,以及逮捕犯罪者,不可为除此以外的其他事情。违背这一规定的守护将被国司或领家提起诉讼,或者让那些守护对地头或庶民实施那些非法行为公开后令其辞职,并(重新)任命合适的人担任守护。并且,守护的代官只能为一人。
注
①大番催促:命令御家人从事的的护卫朝廷之职
②謀反人:背叛朝廷或幕府者
③代官:这里指守护的代理人
④家督:家长管理着财产和地位
⑤荘官:名义上受到领家或本家的命令而管理庄园的职位,现实上的庄园所有人
⑥领家:庄园的名义所有人,在其上还存在着本家,二者均为庄园的名义所有人
⑦诸役:特别是警察、地头斡旋者(地头的领袖)之类的工作
第4条
「守護が勝手に罪人から所領(しょりょう)を没収(ぼっしゅう)することの禁止」重い犯罪はていねいに取り調べた上でその結果を幕府に報告し、幕府の指示に従わなくてはならない。これを怠り守護が勝手に罪人から没収した財産を自分のものにすることは許されず、従わない者は解任(かいにん=やめさせる)する。また、重罪人であってもその妻子の住む屋敷や家具を没収してはならない。共犯者の場合、没収すべき財産が無ければ財産に関して不問とする。
※重い犯罪者=謀反人(むほんにん=天皇や将軍に敵対した者)や殺人犯など
※所領=領地のこと
※没収=とりあげること※鎌倉時代の刑罰のうち武士には「死刑」「流刑」「追放刑」「禁固刑」「経済刑」「停止刑」、庶民には「指切り」「火印捺」「片鬢剃」などがありました。この条文では犯罪者に対する「経済刑」としての財産没収を守護が私的に運用することを禁止しています。
第四条 禁止守护擅自从罪犯手中没收所领②
严重的犯罪应在认真调查后向幕府报告结果,不可不遵从幕府的指示。不允许守护怠于此规定,不允许守护擅自没收罪犯的财产并据为己有,不服从者将予以解任。另外,即使是重犯,也不可没收③其妻子所居住的房屋及使用的家具。存在共犯的情况下,如果没有应当没收的财产,则关于财产在所不问。
注
①重い犯罪者:谋反人(敌对天皇或幕府将军的人)以及杀人犯等
②所領:即领地
③没収:即强制取走